FC2ブログ

第89話 パンケーキの朝食(サンフランシスコ、2000年)

089.jpg

サンフランシスコに滞在した五日間、毎日、九時から五時までの仕事を除いては自由時間でした。そんな時は、スーツをジーンズに履き替え、カメラ片手に街を歩きました。朝と夕方では同じ場所でも雰囲気は全く違います。だから同じ通りでも、違う時間帯に行けば、やはり異なる写真が撮れるのです。

午前六時を過ぎた頃、僕はホテルの外にいました。まだ四月の初旬のため外は少し肌寒く感じます。同時にダウンタウンの独特の匂いを感じました。三十分ほど散歩した後、朝食を取ることにしました。ホテルにある朝食はそれはそれで申し分ないのですが、僕は時間がある限り、ストリートの店に入ることにしています。その方が、ずっと安いし、それに面白い。その店は一日中朝食が食べられる店のようで、僕はコーヒーとパンケーキセットを注文しました。そのウェイトレスは、少し疲れぎみの四十歳前後のおばさんでした。この職にあまり向いていないのか、あるいは深夜の労働で疲れきっていたのか、それほど愛想もないようでした。そのウェイトレスが注いでくれた二杯目のコーヒーを飲み干し、チェックにある金額に、少しだけ多目のチップになるように、代金をテーブルの上に残して店を出ました。翌日、同じ店に行きました。僕に気づいたそのウェイトレスは、少しだけ微笑んだ気がしました。
関連記事

Pagination

Comment

Post Your Comment

コメント登録フォーム
公開設定

Utility

Category