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第176話 裏通りのバイオリン工房(リヨン、2007年)

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普段は、車で通勤なので、毎日、ほぼ同じ時間に、同じ経路を車で走り、同じ信号にかかり、同じ人達を眺めることになります。一方、道順は、ある意味で熟知しているのだけど、その道を自分の足で歩くことはありません。何かの理由で、自宅付近を歩く必要があった時などは、『あれっ!こんな店あったっけ?』などと思わぬ発見をすることがあります。どうやら、車で移動するのと、自分の足で歩くのとでは、移動速度が違うので、視界に入っても、認識できなかったりするのだと思います。
 
旅でも同じようなことを感じます。僕の場合、ある街を散策するのに、ほとんど交通機関を使いません。恐らく、観光地が点在する場合などは、交通機関を上手く利用するのが効率的なはずです。一方で、僕にとっては、効率的な旅をすることについては、ほとんど意味はありません。ガイドブックに載っているような観光地だけを足早に通り過ぎるのは、まるで、コース料理の前菜を無視して、メイン・ディッシュだけを食べているようなものです。そもそも、僕は、メイン・ディッシュよりも前菜の方が好きです。街歩きでも、観光地よりも、そこへ行くまでに偶然遭遇するような、街のごく普通の風景に見入ったりします。
 
リヨンの街の裏通りに、古びたバイオリン工房がありました。薄汚れたディスプレイには、よく使い込まれた製作道具が飾ってありました。僕にとっては、楽しい前菜です。
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